UNIXやインターネットは、ビジブルキャラクタ(可読文字)のテキストに支えられています。
むかし読んだ「UNIXプログラミング環境」の内容の半分くらいは、grepだの、sedだの、awkだのといったテキスト処理言語の説明に当てられていました。UNIXはプログラムを作って動かすツールだけでなく、テキスト文書を作るツールもいろいろ用意されました。roffやTeXはテキストファイルにマークアップを入れて印刷出力を整形しますね。
UNIX自体もテキストファイルに支えられていま(す|した)。カーネルを生成するジェネリックから、パスワードや端末・プリンタ設定などさまざまな設定ファイルもみなテキストです。また、インターネットを支えるさまざまなプロトコルはすべてTCP/IP上を流れるテキストによって操作されます。httpしかり、smtpしかり、pop/imapしかりです。もちろん、htmlやxmlもテキストです。
テキストは効率は悪いですが、融通無碍です。
扱うデータの型を意識しません。データ型を意識するということは、計算機上での表現形式を意識するということです。たとえばC言語のshortという数値の型は、2バイトで±2の15乗までの整数値を表現できます。一桁ずつ1バイトを消費するテキストに比べて効率良く表現できますが、範囲が制約されてしまいます。
ウェブサイトで広く使われるプログラム言語はperl、ruby、phpなどです。いずれもいわゆるスクリプト言語、すなわちテキストで構成されたプログラムをコンパイルせずにそのまま動作させるものです。そして、データ型を意識しない点も共通します。これまた、可読文字文化を体現しています。
闇鍋インフォルマティカ
インフォルマティカ(情報技術、システム)への雑念、邪念を綴ります。
このこのこのこの
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タイトルの中身は中身としてこれも中身。
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これもまた、別の中身
Tuesday, March 14, 2006
Wednesday, March 08, 2006
ENIAC再現
ENIACの再現とつぶやいてみたら、oshさんからENIACシミュレータ(エミュレータ)を教えてもらいました。試してみると、たしかに、ワイヤード・プログラミングらしきパッチボードが表示されます。でも、Safari上のJavaランタイムで走らせていたら、Safariごと落ちてしまいました。というわけで、真空管が故障するところまで再現されているかどうかは確認していません。
ENIACがあるなら、バベジの解析機関をコンピュータ上で製作した人がいるのではないかと期待してみます。解析機関は、プログラムを与えて実行させる計算機の元祖だそうです。これは、製作に着手されることもなかったのですから、再現というより新たな製作です。
そういえば、ひと昔前まで、有効数字2桁の掛け算・割り算は計算尺を使っていました。もっと精度の高い計算は手回し計算機の出番です。これが普及する前は、大規模な計算は対数表と人海戦術に頼っていたそうです。なんでも、計算部屋という部屋が用意され、そこで女性事務員たちが数字を対数に替えていたのだとか。大規模な計算を必要とする当時の先端技術製品は、こんな牧歌的な風景の中で設計されていたのです。
ENIACがあるなら、バベジの解析機関をコンピュータ上で製作した人がいるのではないかと期待してみます。解析機関は、プログラムを与えて実行させる計算機の元祖だそうです。これは、製作に着手されることもなかったのですから、再現というより新たな製作です。
そういえば、ひと昔前まで、有効数字2桁の掛け算・割り算は計算尺を使っていました。もっと精度の高い計算は手回し計算機の出番です。これが普及する前は、大規模な計算は対数表と人海戦術に頼っていたそうです。なんでも、計算部屋という部屋が用意され、そこで女性事務員たちが数字を対数に替えていたのだとか。大規模な計算を必要とする当時の先端技術製品は、こんな牧歌的な風景の中で設計されていたのです。
Tuesday, March 07, 2006
標準は戒名だった
情報技術の標準は、ある時期から戦略的・攻撃的に作られるようになりました。製品に標準という箔をつけて商品価値を高めること、そんな目的で標準策定に積極的に関わるベンダーが増えてきたのです。
OASISやWeb Serviceなどの標準化活動は、まさにその典型といえるでしょう。こうした活動では、自社がすでに実現している技術を標準に押し込もうとします。機能レベルの高いところに押し上げようとする攻撃的な交渉が展開されます。
一昔前は、逆に、低きに流れる嫌いがありました。たとえばUNIXを標準化しようとしたOSF(Open Software Foundation)やUI(UNIX International)のように。それぞれ、たくさんのベンダーが集まりましたが、持ち寄ったものから共通部分を括りだそうとした標準化活動は、自社の権益を防御することに軸足が置かれ、足並みが揃う技術レベルの低い部分で標準化を図るものとなりました。
その頃、NTT研究所にいらした竹内郁雄先生は、こう喝破されました。標準とは技術の戒名である、と。
標準化活動はたくさんの人が関わります。したがって、それはきわめて政治的となります。などというお話はまたいつか。
OASISやWeb Serviceなどの標準化活動は、まさにその典型といえるでしょう。こうした活動では、自社がすでに実現している技術を標準に押し込もうとします。機能レベルの高いところに押し上げようとする攻撃的な交渉が展開されます。
一昔前は、逆に、低きに流れる嫌いがありました。たとえばUNIXを標準化しようとしたOSF(Open Software Foundation)やUI(UNIX International)のように。それぞれ、たくさんのベンダーが集まりましたが、持ち寄ったものから共通部分を括りだそうとした標準化活動は、自社の権益を防御することに軸足が置かれ、足並みが揃う技術レベルの低い部分で標準化を図るものとなりました。
その頃、NTT研究所にいらした竹内郁雄先生は、こう喝破されました。標準とは技術の戒名である、と。
標準化活動はたくさんの人が関わります。したがって、それはきわめて政治的となります。などというお話はまたいつか。
Monday, March 06, 2006
コンピュータ考古学(好古学)
コンピュータが誕生してすでに60年以上たちました。コンピュータの誕生や発展をめぐる人物たちは歴史学の対象になっています。物故された当事者も多くなりました。歴史は、当事者がこの世を去ると、誰はばかることなく記述できるようになるものです。
コンピュータのハードウェアは博物学か考古学の対象でしょう。以前、ミシガン大学のホールに展示されたENIACの現物を見たことがあります。大きな書棚のような枠に真空管が一杯詰まっていました。これで、全体のごく一部だったのですから、物質としての量に対して情報処理能力がいかに低かったのか驚くばかりです。
さらに、コンピュータのソフトウェアも考古学の対象になりうるのではないでしょうか。走行させるハードウェアは現存しませんが、エミュレーションによって現代のハードウェア上に再現することが可能です。じっさいに、Apple IIだとかAmigaのエミュレータで往年の名作プログラムを楽しんでいる人たちがいる、と聞いたことがあります。
再現するなら、歴史順にまず ENIACでしょう。こいつは、ワイヤードプログラミングを作り込まなければいけません。世の中にはアナログのミュージック・シンセサイザーを再現するソフトだってあるのだから、ディジタルなら比較的容易でしょう。できれば、一定の確率で真空管が故障するところなどを再現してほしいものです。
コンピュータの元祖なら、汎用チューリングマシンですって?あれは、走行する実機はないでしょう。
コンピュータのハードウェアは博物学か考古学の対象でしょう。以前、ミシガン大学のホールに展示されたENIACの現物を見たことがあります。大きな書棚のような枠に真空管が一杯詰まっていました。これで、全体のごく一部だったのですから、物質としての量に対して情報処理能力がいかに低かったのか驚くばかりです。
さらに、コンピュータのソフトウェアも考古学の対象になりうるのではないでしょうか。走行させるハードウェアは現存しませんが、エミュレーションによって現代のハードウェア上に再現することが可能です。じっさいに、Apple IIだとかAmigaのエミュレータで往年の名作プログラムを楽しんでいる人たちがいる、と聞いたことがあります。
再現するなら、歴史順にまず ENIACでしょう。こいつは、ワイヤードプログラミングを作り込まなければいけません。世の中にはアナログのミュージック・シンセサイザーを再現するソフトだってあるのだから、ディジタルなら比較的容易でしょう。できれば、一定の確率で真空管が故障するところなどを再現してほしいものです。
コンピュータの元祖なら、汎用チューリングマシンですって?あれは、走行する実機はないでしょう。
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